2012年9月11日 福島民報で掲載していただいた記事を紹介します。

以下転載です。

うまいコメとどける

原発事故の風評被害にさらされている県内農林漁業。放射性物質の検査の態勢の強化、底引き網漁の試験操業など明るい兆しも見え始めた。農家も、漁師も震災前の生活を取り戻すため、風評被害との闘いを続ける。

郡山市の稲作農家 古川勝幸さん 55

郡山市大槻町の稲作農家古川勝幸さん(五五)が稲穂をチェックする。「今年のできも上々だ」。良いコメを作り続けることが風評被害への最大の対抗策との思いが胸にある。

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風評克服「作ること」

古川さんは、JAを通さず全国の米屋や顧客と直接取引する。コメを作るだけでなく販売や流通まで関わる。その分、風評被害を気にする客の声は直接響く。

漢方薬を堆肥に混ぜる手法を採用し、平成二十年まで米・食味分析鑑定コンクール国際大会で五年連続金賞を受賞した。二十年には全国で六人しか選ばれていない全国名稲会員にもなった。全国の米屋から注文は引く手あまただった。

しかし原発事故後は米屋や顧客が次々と離れた。昨年十一月、例年売れ切れるコメが半分も売れ残った。「福島の農家は終わった」。周囲の嘆きが耳に入り、「絶対震災前の状況に戻してやる」と奮起した。

原発のイメージのある福島県産の文字を袋にいれず、ブランド名を「天陽(てんよう)」と替えるなど販売方法を見直した。袋の費用だけで百万円を超え対策費は稲作経営を圧迫したが、やめようとは思わなかった。

「いいコメを作り続けて」。残ってくれた顧客の言葉がコメ作りの支えとなった。顧客の中にはコメを購入し、友人や取引先に配ってくれた人もいた。

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「今年が正念場」と力を入れる古川さん。それでも「人と人のつながりは大事。去った人を恨まず、残った人に感謝して地道に恩返ししたい」と話した。